レンタルハウス

むかしむかし、山に囲まれた土地に暮らす一人の男がいました。海の見えない山に閉ざされた田舎町。その男は、大人になったら町を出ると決意していました。

時が経ち、念願の都会暮らし。たくさん遊び、旅をして、充実した日々を送りました。そして、海の暮らしに憧れのあった男は加賀市山中温泉にやって来ました。「海はあるけど、何もない」というのが、第一印象。そこで、生まれも育ちも山中温泉の青年と出会いました。地元での暮らしや境遇についての話をします。「山中温泉をもっと盛り上げたい」と、その青年は元気良く語ってくれました。それ以来、青年と会えば、将来の展望を聞く毎日が続きました。

ここに住み始めて6年の月日が経った頃、男は、はたと気づきました。小さな温泉地でも大切なものがあるんだと。自分の山の田舎も大切にするべきだったんだと。地元を守る人、伝える人になりたいと。男は地域についてよく調べ、人々とよく交流しました。その結果、山中温泉の良さがわかりました。それと同時に山中温泉の欠点も浮き彫りに。そして男は、空き家を利用した民泊サービスで、地域活性化を目指すという夢を見つけました。

山中温泉の活性化に賛同する空き家の持ち主から、空き家利用の誘いを受けました。銀行の方や大工の方にも、協力してもらえました。必要な家具も地域の方々から譲ってもらいました。都会暮らしの若い子からアドバイスを聞けたのもよいアクセントとなりました。ようやく完成した民泊「きずなの家」。たくさんの人との出会い、その時間への感謝の気持ちを名前に込めました。

今でも、その民泊サービスは営業しています。

あなたとの出会いも、きっとこの物語の続きを紡ぐことになるでしょう。